煩悩

除夜の鐘を108回打つのは、108の煩悩を除くためだとされる。でも煩悩とは何か。なぜ108もあるのか。そして本当に「除ける」ものなのか。

煩悩とは何か

煩悩(ぼんのう)とは、心を乱し苦しみを生む精神作用のことだ。欲望・怒り・嫉妬・プライド・不安・後悔——あらゆる「苦しみの種」が煩悩に含まれる。

サンスクリット語ではクレーシャ(汚れ)。根本は三毒(貪・瞋・癡)だ。欲しがること、怒ること、わからないこと——この三つから無数の煩悩が派生する。

なぜ煩悩は止まらないのか

「わかっているのに、やめられない」——これが煩悩の本質だ。理性で抑えようとしても、衝動は消えない。なぜか。

煩悩は抑えるほど強くなる。「食べてはいけない」と思うほど食べたくなる、「怒ってはいけない」と思うほど怒りが膨らむ。抑圧は煩悩の燃料だ。

POINT

・煩悩=心を乱し苦しみを生む精神作用

・抑えるほど強くなる——それが煩悩の仕組み

・観察することが、煩悩との正しい付き合い方

煩悩は悪いものか

「煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)」という言葉がある。煩悩はそのまま悟りの種だ、という意味だ。煩悩は除くものではなく、気づきの材料として使うものだ。

今感じている煩悩を「なぜ自分はこれに反応するのか」と観察する。その観察の繰り返しが、苦しみの構造を解体していく。除夜の鐘は、煩悩を消す鐘ではなく、煩悩に気づく鐘かもしれない。

煩悩を消そうとするより、観察する方が早い。