天台宗
天台宗とは何か
天台宗は、最澄(さいちょう)が9世紀に開いた宗派だ。中国の天台山(てんだいさん)で発展した天台教学を日本に伝え、比叡山(ひえいざん)を根本道場とした。
天台宗の教えは「一念三千(いちねんさんぜん)」という概念に象徴される。一瞬の心の中に、三千の世界が宿る——という、宇宙と個人をつなぐ壮大な思想だ。
日本仏教の母
鎌倉時代に活躍した法然・親鸞・道元・日蓮・栄西——日本仏教の主要な宗派の開祖のほとんどが、比叡山での修行を経ている。その意味で天台宗は「日本仏教の母」と呼ばれる。
それぞれが天台の教えの一部を受け取り、深め、独自の宗派として発展させた。天台は総合的な仏教教育の場として機能した。
POINT
- 鎌倉仏教の開祖のほとんどが比叡山出身——日本仏教の母
- 一念三千——一瞬の心に宇宙が宿る
- 最澄は「すべての衆生に仏性がある」と説いた
最澄と空海
最澄と空海は同時代の人物で、同じく唐へ渡り、日本へ仏教を持ち帰った。最澄は天台宗を、空海は真言宗を開いた。二人は当初交流があったが、後に袂を分かった。
最澄は「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」——すべての衆生に仏になる可能性がある——という平等主義を重視した。
現代の天台宗
天台宗は現在も比叡山延暦寺(えんりゃくじ)を総本山とする。千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)という、12年かけて比叡山を歩き続ける究極の修行でも知られる。
また比叡山は宗派を超えた「世界宗教者平和会議」の開催地にもなっており、対話の場としても機能している。
日本仏教の宗派は、すべて比叡山から生まれた。